高齢者さんを簡単に横向きにする介護のコツとは?

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高齢者さんの寝返りやオムツ交換を行うとき、
ベッドや布団で仰向けに寝ている姿勢から、
横向きに変える介護は、介護者さんにとってとても負担のかかる介護の1つです。

とくに、介護者さんが小柄な女性の場合は、
力任せの介護を行うと、介護者さんの腰を痛めたり、
介護中におもわぬ事故を起こしかねません。

では、介護者さんが腰を痛めたり、
高齢者さんが事故を起こしたりしないために、
どのように介護を行えばよいのか?

どのような介護を行うと、
腰を痛めたり、事故を起こしてしまうのか?

実例を挙げながら、
詳しく解説していきますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

 

目次

  1.  横向きにする介護では、まず、〇〇を折りたたむ!
  2. 横向きにする介護では、相手の身体はコンパクトに!
  3. 横向きにする介護で、力任せに姿勢を変えようとすると・・・
  4. 横向きにする介護は、綱引きの要領で行うと腰を痛めません
  5. 横向きにする介護では、相手の身体にできるだけ密着する
  6. 横向きにする介護では、利用できるものは最大限利用する
  7. まとめ

 

 

1.横向きにする介護では、まず、〇〇を折りたたむ!

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【出典:無料写真素材 写真AC】

布団やベッドで、仰向けになっている高齢者さんを、
横向きの姿勢に変えようとするとき、
大多数の方は、仰向けに寝ている高齢者さんの、身体に覆いかぶさるように、
肩、もしくは腰に両手を当てて、
腕の力を使って、自分のほうに引き寄せる動作を行うと思います。

ですが、ここで一つ、考えてほしいことがあります。

それは、仰向けになっている高齢者さんの、
腕はまっすぐに伸びたままですか?

ひじは曲がっていませんか?

足は、指先まで伸びたままですか?

膝は曲がっていますか?

まっすぐに伸びていますか?

これから横向きに姿勢になってもらう高齢者さんは、どんな状態ですか?

なぜ、こんな質問をするのか?

その理由を理解してもらうために、
実例を挙げながら、もっとわかりやすく解説します。

例えば、小さなお子さんを抱きかかえるとき、
お子さんの腕が、下に向いて伸びきっているのと、
抱きかかえるこちらの、首にしっかりと巻き付いているのでは、
どちらが楽に抱きかかえられますか?

相手の腕が首に巻き付いていて、
身体がしっかりと、こちらに密着している方が、
楽に抱きかかえられませんか?

高齢者さんを横向きの姿勢にする際も、
理屈は同じです。

腕が体の横に伸びきっているのであれば、
両腕を、高齢者さんの胸の上で組むようにしてあげてください。

両足が伸びきっていたら、立膝にしてあげてください。

膝に痛みがあるようであれば、
左右の膝頭を、できるだけ密着させて、
両足が、まっすぐに揃うようにしてあげてください。

このように、仰向けの姿勢の時に、
腕や足を、できるだけ畳んでおくことは、
横向きの姿勢に変える前の、大事な下準備になります。

 

 

 

 

2.横向きにする介護では、相手の身体はコンパクトに!

高齢者さんの身体を折りたたむことで、
布団や床に、身体が密着している面積を少しでも減らす。

介護を行う前には、高齢者さんの体と、
床や布団との摩擦を少しでも減らす。

これは、介護者さんが、
自分側に高齢者さんの向きを変えるときに使う、
腕の力を少しでも少なくするための基本です。

また、腕や伸びきったまま、無理に横向きに姿勢を変えると、
横向きになった体と、布団やベッドの間に腕を挟んで、
思わぬケガをする原因になる場合もあります。

介護者さんの負担を少しでも減らし、
ちょっとしたことでもケガをしてしまう高齢者さんを守るためにも、
横向きの姿勢にする前に、腕や足をできるだけコンパクトに折りたたむこと。

折りたたむことが難しいのであれば、
腕や足を、できるだけ身体に密着させてから、
横向きの姿勢に変えること。

これは、姿勢を変える介護の基本中の基本ですから、
ぜひ参考にしてください。

 

 

 

 

3.横向きにする介護で、力任せに姿勢を変えようとすると・・・

横向きの姿勢にするときは、
仰向けになっている高齢者さんの、肩や腰に手をあてて、
腕の力を使って、姿勢を横向きに変える動作を行いますが、
この時、腕の力だけに頼って、姿勢を変えようとすると、
腰や背中の筋肉に負担がかかり、多くの介護者さんが、
やがて腰を痛めることとなります。

プロの介護職員さんに、
腰痛持ちが多いのもこれが原因の一つで、
多くの介護職員さんが、持病の腰痛に悩まされていて、
腰痛ベルトをしながら、日々、介護業務を行っている方も多くいます。

介護職員さんたちの業務は、
一般の方には想像できないほど過酷です。

私自身、過去、特別養護老人ホームで仕事をしていた時、
夜勤勤務に入ったときなどは、
30人ほどの高齢者さんのオムツ交換を早朝5時から初めて、
朝食の時間になる8時前までに、オムツ交換を行い、
終わった方から順に車いすに乗っていただき、食堂までお連れする。

これを、ほぼ1人で行っていました。

ですが、私は、
こんな過酷な現場を体験していながら、
今、腰痛に悩まされることなく、腰痛ベルトのお世話になることも無く、
日々、普通に生活を行っています。

それはなぜか・・・。

私に何か、特別な介護技術があったからか?

いえ、決してそんなことはありません。

では、その理由は・・・。

 

 

 

 

4.横向きにする介護は、綱引きの要領で行うと腰を痛めません

介護で、腰や背中を痛める方に共通しているのが、
一部分の筋肉を使って、力任せに介護を行っていることです。

先ほどのオムツ交換の例でもお伝えしましたが、
私が過去、1人で30人以上の高齢者さんのオムツ交換を行っても、
なぜ、腰や背中を痛めることが無かったのか?

それは、力任せに介護を行っていなかった。

これが、腰を痛めなかった理由です。

私は、170センチにも満たない身長で、体重も50キロ弱。

男性の中でも、小柄な部類に入ります。

筋肉質なわけでもなく、
身体が特別柔らかかったわけでもありません。

そんな私が、意識して行っていたこと。

それは、綱引きの動作を意識することでした。

 

横向きにする時、なぜ綱引きの動作が必要なのか?

では、高齢者さんを、仰向けから横向きに姿勢にするとき、
綱引きの動作をどのように取り入れればよいのか、
なぜ、綱引きの動作が必要なのか解説します。

小学校や中学校で、
綱引きを行ったことがある方ならイメージできるかもしれませんが、
綱引きをするときの姿勢を思い出してください。

綱引きでは、
相手の力に負けないように、腰は低く落とし、
両足で地面を強く踏み、
綱をつかむ腕を、上半身ごと手前に持ってくる。

この動作を行うことで、
相手に綱を引っ張られないようにする。

綱引きの時には、
誰でも無意識にこのような動作を行っていると思います。

高齢者さんの身体の向きを変えるときも、
この動作を意識してほしいのです。

腕の力だけに頼るのではなく、腕と手のひらで体を支え、
両足を踏ん張り、重心は低くし、身体全体で相手の身体を手前に引く。

これができるようになると、
小柄な女性でも、力に頼ることなく、
腰に負担なく、横向きの姿勢にする介護ができるようになります。

 

参考動画
仰向けから横向きに変える介護の1例
【出典:https://www.youtube.com/watch?v=DaiuxFQ1TNg

動画の中でも、解説されていますが、
姿勢を変える方の、腕や膝をできるだけコンパクトにし、
手は添える程度に力を入れ、身体の向きを変えるときには、
上半身全体で、手前に引く動作を行っています。

ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

 

5.横向きにする介護では、相手の身体にできるだけ密着する

仰向けになっている高齢者さんの、
身体に手を添えて、横向きに姿勢を変えるとき、
自分の体と、高齢者さんの身体は、
できるだけ密着させることが大事です。

相手との距離が、離れていれば離れているほど、
こちら側に引き寄せる際に、大きな力を要することとなり、
結果、腰や背中に負担をかける原因ともなります。

ではここで、1例を挙げて解説します。

朝起きて、布団を押入れにしまうとき、
まず、床に引いてある布団を手で抱える動作を行うと思います。

そのとき、どのような姿勢で布団を抱えると、
楽に行えますか?

立ったままの姿勢で、前かがみのまま、
腕を伸ばしたまま、布団を持ち上げますか?

それとも、腰を下ろし、立膝をついて、
布団を抱えながら、身体も一緒に起こしますか?

どちらの方が楽でしょうか?

もう一つ例を挙げて解説します。

床にミカン箱が置いてあります。

その箱を持ち上げるとき、どのような動作を行うと、
楽にミカン箱を持ち上げることができますか?

ミカン箱を持ち上げるときには、
床に片膝をつく、もしくは、腰を下ろして、
できるだけミカン箱を抱えるような動作を行うと思います。

布団を抱えるときも、できるだけ布団に近づくように、
膝をついたり、腰を下ろすなど、
持ち上げようとする物との距離は、
近ければ近いほど、抱える力が少なく済みます。

高齢者さんを、
横向きの姿勢に変えるときも同じです。

姿勢を変えようとする、
相手との距離が離れていれば離れているほど、
必要になる力は大きくなりますし、

何よりも、介護者さんへの負担も大きくなります。

ですから、
布団で寝ている方の姿勢を変えるときは、
1・まず、腰を低くし片膝をつく。
2・相手の身体との距離は、腕の肘が曲がるぐらいまで近づける。
3・相手の姿勢を変えるときには、
 できるだけ相手と身体を密着させてから、こちら側に姿勢を変える。
※その時、腕の力だけに頼らず、綱引きの要領でこちらに引くことをイメージする。

この3つを、必ず意識してください。

ベッドで寝ている方の姿勢を変えるときには、
1・ベッド横に身体をつけ、可能であればベッドの上に片膝をつく。
※寝ている相手の横、ギリギリに片膝がつけると、
姿勢を変える際の力を少なくすることができます。

参考動画
ベッドに膝をついて横向きの介護を行う例
【出典:https://www.youtube.com/watch?v=SWQ10BEr-yc

2・相手の身体との距離は、腕の肘が曲がるぐらいまで近づける。
3・相手の姿勢を変えるときには、
※できるだけ相手と身体を密着させてから、こちら側に姿勢を変える。
その時、腕の力だけに頼らず、綱引きの要領でこちらに引くことをイメージする。

 注意・ベッドで寝ている方の姿勢を変えるときには、
   向きを変える側に、ベッド柵がついている場合もあるので、
   ゆっくりと慎重に姿勢を変えるように、注意してください。

このように、できるだけ相手の身体と密着して、
腕の力だけに頼らずに、綱引きのように、
身体全体を使って、こちら側に向きを変える。

これを必ずイメージすることで、身体への負担も少なく済みますし、
何よりも、腰や背中など、身体への負担も少なくすることができますので、
ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

 

 

6.横向きにする介護では、利用できるものは最大限利用する

これは、高さ調節ができる、
介護ベッドを使っている方へのアドバイスになりますが、
姿勢を変えるとき、
ベッドの高さを介護者さんの腰の位置まで上げてから、
介護を行うと、腰への負担を軽減することができます。

参考動画
ベッドの高さを変えて、楽に介護をする!
【出典:https://www.youtube.com/watch?v=dTbU50y6Xx4

このように、介護ベッドには、高さ調節ができるものが多くあり、
相手の身体に密着する前に、
ベッドの高さを、介護者さんの腰の位置まで上げてから、
横向きの介護を行うことができますので、
もし、ご自宅で、介護ベッドを利用されているのであれば、
一度、ぜひ試してみてください。

また、膝が自分ではうまく曲げられない方には、
このように、枕を使って立膝になってもらう方法もあります。

参考動画
枕を利用して、介護を楽にする方法
【出典:https://youtu.be/Da1Gvvbyyyk?t=18s

この動画の中でも解説されていますが、
膝や腰の下に、枕を当てることで、高齢者さんと床面の摩擦を減らし、
介護者も高齢者さんも、楽に横向きの姿勢になることができます。

ベッドの高さ調節や枕を使うだけで、介護者さんへの負担を軽減し、
高齢者さんへも、安全に負担なく介護を行うことができますので、
ぜひ、参考にしてみてください。

 

 

 

 

7.まとめ

ここまで、仰向けの姿勢から横向きの姿勢に変える介護について、
実例なども交えながら解説してきました。

手に位置に合わせて姿勢を変えたり、
その都度、ベッドの高さを調節したり、
枕を使うなどは、毎日介護をされる方にとっては、
面倒に思われることかもしれません。

ですが、介護施設で働いている介護職員さんたちに、
腰痛で悩んでいる方が多いのは、
この、姿勢を変えることや、ベッドの高さ調節をする。

力任せに介護をしない。

こういった、介護を行う前の一工夫を行わないことが、
最大の原因なのです。

これは、先にお伝えしたことですが、
体重は50キロ弱で、身長170センチにも満たない小柄な私が、
1晩で30人以上の方のオムツ交換を行っても、
なぜ、腰痛に悩まされることなく、介護を10年以上続けることができたのか。

自分よりも大柄の男性を、1日の中で、何度も何度も寝返りの介護を行っても、
なぜ腰を痛めることなく、介護を続けられたのか。

それは、相手の身体に密着することや、
ベッドの高さを調節する。

力任せに介護を行わない。

これをいつも心がけていたからです。

また、力任せの介護は、
介護中の思わぬ事故原因ともなります。

介護は、今日1日だけ行うというものではなく、
先の見えない、長い道になるものです。

介護者さんの身体を守ることも、
介護にとっては大切なことです。

今回お伝えした内容を、ぜひ参考にしていただき、
日々の介護負担を軽減するお手伝いができれば幸いです。

 

 

 

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