認知症の症状は、すべて脳が原因で発症すると思っていませんか?

PeteLinforth / Pixabay

認知症を発症する原因というと、
脳が委縮して認知症の症状を発症する。

脳の細胞が壊れることで認知症の症状が現れる。

このように思われる方が大多数だと思います。

ですが、
ひどい物忘れなど、認知症の症状を発症する原因には、
脳が直接の原因ではないものも存在します。

長い間の生活習慣が原因となって発症するものや、
事故やケガなどで発症するもの、
また、未だ原因がはっきりと特定できていないものなど、
様々な認知症の種類が存在します。

では、
脳が直接の原因ではない、認知症にはどんなものがあって、
どのようなことが原因となって認知症の症状が現れるのかについて、
これから詳しく解説していきます。

 

1.原因を特定することで、治る可能性がある認知症をご存知ですか?

認知症を発症してしまったら、
もう治ることの無い不治の病だと思われる方が殆どだと思います。

ですが、認知症の中でも、
症状を早期発見し、原因を特定することで、
認知症の症状を改善できるものが存在します。

その認知症の病名を、
正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)と言います。

では、正常圧水頭症では、
どのような症状がおこるのか。

早期発見のポイントは?
どのような治療を行えばよいのか?
などについて、
これから詳しく解説していこうと思います。

 

1-1.正常圧水頭症とは、どんな認知症なのか?

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【出典:結節性硬化症.jp】

私たちの脳は、
頭の外側を守る骨である、頭蓋骨と、
頭蓋骨の内側にある、脳硬膜の2つで保護されていて、
脳硬膜の内側にある、髄液という液体中に浮かんでいます。

この髄液は、
脳の中心部にある、脳室という場所で作られ、
脳内を適切な量を保ちながら循環し、最終的に脳の表面に吸収されますが、
髄液の循環が適切に行われなくなると、脳を圧迫してしまいます。

このような状態になると、
脳の機能に障害が起き、
認知症に酷似した症状が現れます。

これが、
正常圧水頭症という、認知症の症状になります。

1-2.正常圧水頭症の、特徴的な5つの認知症の症状

特徴的な症状として、
まず、歩行状態に明らかな変化が起こります。

1つ目の特徴
狭い歩幅で、小刻みに摺り足で歩くようになり、
歩行しているときも、体がヨロヨロと左右に揺れて、
安定感が無くなります。

2つ目の特徴
顔の表情に、明らかに今までと違う変化が現れます。
視線が定まらなくなり、
どこを見ているのかわからないが、
いつも、ボケっとした表情が多くみられるようになります。

3つ目の特徴
物忘れの症状が顕著にみられるようになります。
症状が進行すると、外出して家に戻ってこれなくなるなど、
記憶力の低下も見られるようになります。

4つ目の特徴
引きこもりがちになり、
意欲の低下がみられるようになります。
症状が進むと、食欲の低下なども見られるようになります。

5つ目の特徴
歩行がうまくできなることで、
トイレに間に合わなくなることが多くなったり、
失禁することが多くみられるようにもなります。

1-3.正常圧水頭症の治療方法

脳を包んでいる髄液は、
脳の中央部にある、脳室という場所から、
脳を圧迫しない適量が排出され、絶えず脳内を循環しています。

この髄液が、多量に排出され、循環に支障が出ると、
脳内で、髄液が脳を圧迫し、
脳の機能に支障をきたすようになってしまう。

これが、正常圧水頭症を発症する原因の1つです。

治療を行う方法としては、
この、脳を圧迫してしまった髄液を、
脳の外に排出する治療を行います。

この治療方法を、
‟シャント手術”と言います。

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【出典:脳神経外科疾患情報ページ】

この手術では、
脳室に適量以上に溜まってしまい、
脳を圧迫した髄液を、シャントという管で
脳と腹部などをつなぎ、排出する方法を行います。

このシャント手術には3つの方法があり、
1つ目の手術方法が、
髄液を作る、脳室から腹部へシャントをつなぎ、
髄液を排出する方法です。

この手術方法を、
脳室腹腔シャント手術と言います。

2つ目の手術方法は、
脳室から、心臓の心房へシャントをつなぎ、
髄液を排出する方法。

この手術方法を、
脳室心房シャント手術と言います。

3つ目の手術方法が、
背骨付近にある、腰椎と腹部をシャントでつなぎ、
髄液を腹部へと排出する方法。

この手術方法を、
腰椎くも膜下腔腹腔手術と言います。

以上3つが、
正常圧水頭症の治療で行われる、
代表的な手術方法です。

このシャント手術は、
ビニールの菅を、腹部や腰部と脳をつなぐという、
比較的、簡易な手術であるために、
手術後、長期間の入院も必要なく、
短期間で退院することができます。

ただし、このシャント手術は、
心臓ペースメーカー手術のように、
一度行ったら、長期間様子を見るだけとはいかず、
長くても年単位、短い方だと、数か月でシャントが詰まってしまうなど、
メンテナンスや交換手術が必要となります。

このシャント手術を行うことで、
正常圧水頭症により発症した、
歩行不安定な状態や、物忘れの症状など、
大多数が改善されると言われています。

また、早期の発見、早期の治療が最も大切なことであり、
先ほどお伝えした、歩行状態や顔の表情、
今までとは明らかに違う様子などが見られたら、
脳神経外科や認知症外来(ものわすれ外来)などへ、
受診することが大切です。

 

 

2.高齢者にも多くみられる、アルコールに関連した認知症とは?

アルコールにかかわる病気と言えば、
アルコール中毒やアルコール依存症など、アルコールを過剰に摂取することで、
いつもアルコールが手放せなくなってしまい、
日常生活に支障をきたしてしまう。

このようなイメージを持たれる方が、
殆どではないでしょうか。

ですが、
アルコールと認知症という病気も、実は、深く関係があって、
アルコールを長期にわたり、多量に摂取することで、
ひどい物忘れの症状などを発症することもあります。

では、
アルコールがかかわる認知症の症状とは、
どのようなものなのか?

治療方法や、症状を改善する方法には、
どのようなものがあるのか?

ここから、
詳しく解説していこうと思います。

 

2-1.アルコールによって発症する認知症の症状とは?

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【出典:一般社団法人ディペロップメントシニアPCコミュニティ】

アルコールが原因となって発症する認知症を、
アルコール性認知症と言って、
アルコールを長期間、多量に飲み続けることで、
脳梗塞を発症したり、脳血管障害などを発症し、
その結果、脳に障害がおこり、認知症の症状を発症します。

認知症というと、高齢者が発症すると思われがちですが、
この、アルコール性認知症に関しては、若年世代の方でも発症します。

症状としては、認知症での特徴的な症状である、
物忘れの症状や、日付や時間が理解できなくなる、
見当識障害などを発症します。

やがて、症状が進行すると、
今、自分のいる場所がわからなくなったり、
数分前のことすら覚えてられなくなるなどの、記憶障害を発症したりもします。

また、記憶や物忘れなどの、脳に関連する障害だけではなく、
歩行状態が不安定になって、転びやすくなったり、
立ち上がる際にも、何かにつかまっていないと、
立っていられなくなる場合もあります。

また、特徴的な症状としては、
アルコール中毒とも共通する症状ですが、
ふさぎこみがちになったと思ったら、
急に興奮するなど、感情のコントロールができなくなる。

怒りの感情を抑えることができなくなり、暴力的になる。

さらにひどくなると、
コンビニやスーパーなどで食品などをその場で開けて、
手当たり次第に食べてしまう。

このように、通常であれば、
感情で抑制できる行動や欲望を、
自分で抑えることができなくなってしまうのが、
この、アルコール性認知症で現れる症状の特徴です。

 

2-2.アルコール性認知症の治療方法や対処方法

まずはアルコールの摂取を辞めさせることが、
治療の大前提になります。

一旦発症してしまうと、
症状は悪化の一途をたどるだけですから、
アルコールの摂取を辞めさせることで、症状の悪化を防ぐことができます。

暴力的になる。
感情の抑制が効かなくなる。

このような症状への対処方法は、
まず、専門の医療機関に受診し、
適切な治療を受けることも、症状を悪化させないためにも、
介護の負担を大きくしないためにも大切なことです。

症状によっては、認知症の専門医以外の
精神科や心療内科などで、適切な処方をしてもらうことで、
症状を緩和することもできます。

※認知症外来を探す。
※心療内科を探す。
※精神科を探す。
※脳神経外科を探す。

 

 

3.頭のケガが原因となって起こる認知症とは?

転倒や事故などで頭部に外傷を負ったことで、
認知症を発症する場合があり、
これを、頭部外傷性認知症と言います。

これは呼び名のとおり、
頭部に対して、外部から衝撃を受けることで、
脳の一部機能が低下することによって発症する認知症です。

足腰が不自由になっていて、
転倒などの事故が起きやすい高齢者さんにとって、
認知症を発症する原因にもなるのが、この頭部外傷性認知症でもあります。

では、この頭部外傷性認知症は、
頭部にどのぐらいの外傷を負うことで発症するのか?

また、発症した際、
どのような認知症の症状が現れるのか?

発症した症状に対して、
どのような治療を行えばよいのか?

以上、3つの内容について、
これから詳しく解説していこうと思います。

 

3-1.頭部にどれぐらいの外傷を負うと発症するのか?

頭部外傷性認知症は、
頭部に外傷を負うことが原因で、認知症を発症する。

このように聞くと、
頭部を強打し、多量に出血するなどの、
大ケガを負うと発症すると思われるかもしれません。

ですが、この頭部外傷性認知症の場合、
外傷の大小は直接的な原因とならないので注意が必要です。

例えば、転倒などで頭部を強打し、
大量の出血が見られるほどの外傷を負っても、
その後、特にお変わりなく生活できる方もいれば、
外から見ても、小さなタンコブ程度のケガだったのに、
次の日になったら、突然身体が痙攣を起こした。

このようなケースもあるのです。

では、直接的な原因はなんであるのか?

それはケガの大小にかかわらず、頭部に外傷を負うことで、
脳の機能に障害が起こることが原因であるからです。

頭部に外傷を負うことで起こる脳の障害で、
代表的なものに、硬膜下血種というものがあります。

これは、脳を守っている頭蓋骨と、脳の間にある硬膜で出血が生じ、
出血が少量で止まり、自然と脳に吸収されれば良いのですが、
出血が止まらず、やがて、血液が固まって血種となった場合に、
徐々に脳を圧迫することで、認知症の症状が発症することがあります。

4【出典:医師が教える人間ドックの評判とホントのところ】

頭を数針も切るほどのケガをしたのに、
レントゲン検査をしてみたら、脳に障害は無かった。

自宅で転倒して頭を打ったので、
ケガを確かめたら、小さなタンコブがあった程度だったので、
病院にも連れて行かずにそのまま様子を見てみたら・・・。

次の日になって、急に痙攣が始まった。

ろれつが回らなくなって、
何を言っているのかわからなくなった。

このようなケースは多くみられますので、
高齢者さんが転倒事故などで頭を打った時には、ケガの大小にかかわらず、
まず、整形外科、もしくは脳神経外科などへ受診し、
レントゲン検査やMRI検査などを行ってください。

 

3-2.頭部外傷性認知症の、特徴的な症状と対処法とは

頭部に外傷を負ったことで、硬膜下出血などを発症すると、
様々な障害が発生しますが、その中でも代表的な症状を解説します。

初期に発症する症状としては、
1・立っていられないほどの頭痛を訴える。
2・吐き気を繰り返す。
3・意識消失や、意思疎通ができなくなる。
4・立ちくらみや歩行のふらつき

頭部に外傷を負ったことで脳内出血がおこると、
初期症状として、このような症状が現れます。

やがて、時間の経過ともに、
次のような症状が現れるようになってきます。

1・手足のマヒ(片マヒのような症状が現れることもあります)
2・歩行障害(まっすぐ歩くことができなくなる時もあります。)
3・ろれつが回らなくなり、会話ができなくなる。
4・意味不明なことを話し出す。(急に物忘れのような症状も出現する)

転倒後、頭部に外傷をあった際、最も注意してほしいことは、
ケガの度合いにもよりますが、
頭部を打撲した24時間以内は、絶対に安静を保つこと。

これができなかったために、
転倒後は、何も症状を訴えなかったのに、
数時間後、もしくは次の日になって様々な症状を訴えるようになった。

このようなケースも多々見られますので、
転倒後24時間は安静を保ち、
普段と変わった症状が現れないか注意してください。

そして、硬膜下出血を発症したとき、最も重要なことは、
どれだけ早く硬膜下の出血箇所を発見し、
出血を止める、もしくは血種になっていれば取り除く。

これが最も重要な対処法となります。

ですから、先ほどご説明した症状が現れたときには、
もう、脳内に出血が広がっている場合もありますから、
ケガの大小にかかわらず、まず、医師の診察と検査を受けること。

これが、転倒後に起こるかもしれない脳の障害を、
できるだけ小さいものにするために、最も重要なこととなります。

血種や出血への治療方法としては、
出血が少量であれば、内服薬などで出血を止める。

血種が見られる場合でも、
血種が小さなものであれば、内服薬などで血種を消す治療で、
症状が改善する場合もあります。

出血が広範囲である場合には、頭蓋骨に小さな穴を開け、
脳内に溜まった血液や血種を排出する手術を行います。

頭蓋骨に穴を開けて、脳内の血液を外部に放出するという、
比較的簡単な手術ですので、全身麻酔の必要もなく、
早い方であれば1時間ぐらい、長くかかっても数時間で終わる簡単な手術です。

血液や血種を取り除くことで、脳への圧迫が解消されると、
症状も完全に消失し、その後、認知症の症状が発症することも無く、
もとどおりの生活を送ることもできますので、
転倒などで頭部を打撲した際には、ケガの大小にかかわらず、
まず、医師の診断を受け適切な治療を受けること。

これが、頭部外傷性認知症への、
最も重要な対処法であり、治療方法でもあります。

 

 

4.認知症発症の原因は脳の萎縮だけではありません

認知症と聞くと、大多数の方が、
脳が委縮する、もしくは脳の中で何か起こることで、
ひどい物忘れやなどの、認知症の症状が発症する。

このように思う方が、大多数だと思います。

ですが、認知症の発症原因にはとても様々なものがあって、
脳の血管に障害がおこることで発症するものから、
今回お伝えした、アルコールが原因となって発症するものまで、
様々な要因から発症するのが、認知症という病気です。

また、発症する原因によって、
障害を受ける脳の箇所にも違いがあったり、
その後発症する症状にも様々なものがあります。

ですが、どのような認知症が発症したとしても、
全てに共通した対処方法があります。

それは早期発見。

早期診断。

この2つが最も重要な対処方法であり、
最も重要な治療法です。

高齢者さんは、ちょっとしたケガや病気が原因で、
あっという間に認知症の症状が進行します。

普段をちょっと違う様子が見られたら、
まずは、近隣のかかりつけ医に相談する。

それでも症状が改善しないようであれば、
認知症専門医師の診断を受ける。
※認知症専門外来・全国一覧

高齢者さんの身体と心は、
私たちが思う以上にデリケートです。

ちょっとした変化を見逃さず、
何か変わった様子があったら、医師の診断を受ける。

これをぜひ、心にとめおいてください。

どうかお願いします。

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