高齢者の脱水予防とその改善策

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病院や施設で働いていると1年を通して、
「脱水には気を付けないといけない、特に夏は沢山水分を摂ってもらわないと、
でも、思うようにはなかなか飲んでくれないし…」

現場ではそんな悩みがよく聞かれます。

そして現場だけでなく自宅でも全く同様の悩みがあります。
自宅であればなおさら心配になってしまいますよね。

水分を摂ってくれない、そして飲めなくなってしまう、
疾患や下痢等の症状よっては、水分をしっかりと摂取していても、
脱水症になってしまう事もあります。

脱水症、それは介護する家族や医療者にとって、
大きな問題の一つではないでしょうか?

ここでは脱水症を防ぐ為の適切な方法や、
脱水症になってしまった時の改善策を、
詳しくご説明いたします。

 

 

脱水症の詳しい説明、種類、症状は、
「高齢者、脱水症の危険性」をご参考にして下さい

そちらを先に読んで頂きますと、
本編がさらに解りやすくなっております。

 

 

1.脱水症の予防策

脱水症の予防にはやはり、「水分補給」が重要です。
身体の水分不足は、命の危険に関わってきます。

暑い時期や運動後等、
意識的に水分補給を行うことが必要となります。

ここでは、具体的な予防方法を説明してゆきます。

「水分補給」といっても水分やお茶だけでは、
場合によっては低張性脱水となってしまう可能性もあります。

線でくくっている部分の説明は、
「高齢者、脱水症の危険性」で詳しく説明あり
水分と電解質を補う事が重要となります。

特にナトリウムが必要です。

しかし、一度にグビグビと多量の水分や電解質を、
摂取すればよいと言う訳ではありません。

吸収される前に尿等として排泄されてしまいます。

では、どのように摂取すれば良いのでしょうか?

1. 喉が渇いていなくとも
一日の中で定期的に水分を摂取する。

食前や食後、お昼の時間、おやつの時間等に、
ある程度リズムを決めて飲みます。

高齢者の「隠れ脱水」の予防ともなります。

 

2. 1日大体2ℓが目安です
夏場や、汗を沢山書いたときは意識して、
一回量を多めに摂取して下さい。

又、一回で多めに摂取出来なければ、
回数を少し増やす等して、摂取量を調整して下さい。

3. 入浴後
入浴は発汗にて、多量に水分が失われます。

42度の湯に15~20分入っていると600~800ml程の、
水分が失われると言われております。

5分~10分程でも300ml~500mlは失われます。

ですので、
入浴前後に最低でもコップ1杯の、水分摂取が必要となります。

4. 起床時、起床後の水分も大切です
寝ている間に失われる水分は300mlとも言われており、
夏場ではそれ以上になります。

ですので、寝る前に約300ml、起床後に300ml、
(約コップ1杯)は補給したい所です。

特に高齢者は寝る前に水分を摂取すると、
夜間のトイレを心配し、水分を控える傾向があります。

水分の重要性を説明し、寝る間近でなくともよいので、
夕方頃からでも、少しずつ摂取を促してみて下さい。

 

5. 実際に摂取する水分って?水、お茶?
電解質の役割も大変重要です。

しかし、多量に汗をかいたりしなければ、身体で塩分も調整されているので、
水やお茶でも、ちゃんとした水分補給となります。

お茶は利尿作用もありますが、
疾患等の影響がなければ、神経質となる必要はありません。

ですので、通常でのベストはとなります。

しかし、夏場等に多量に汗をかいたり、
レク等の運動で、いつもよりも多く発汗があれば、
やはりナトリウムなど、電解質が多く失われてしまいます。

そのような場合に、スポーツドリンク等が有効となります。

スポーツドリンク等、ある程度、
ナトリウムが含まれている飲み物を摂取する必要があります。

市販のスポーツドリンク等で、
糖度5%を超えてしまうと吸収率が低下してしまいます。
薄めて飲む事をお勧めします。

スポーツドリンクを約2倍から3倍に薄めて、
運動やレクの30分前に飲みます。

運動やレクが終了したらなるべく速やかに飲みます。

これによって、脱水の改善になります。

 

 

 

2.脱水症になってしまったら

様々な観察や予防策を行っても、
高齢者の体調や、その日の気分、疾患等から、日々の変化は多々あります。

そして、
どうしても脱水症となってしまう事もあります。

「高齢者、脱水症の危険性」の2-2「表や図で危険度を知ろう」
を見て頂けるとわかります様に、
脱水症状は水分や電解質が失われる程に、危険度が増します。

では脱水症になってしまった場合、
どの様に対処すればよいでしょうか?

自宅では病院の様に点滴等の処置がすぐに出来ない為、
緊急性が高ければ、すぐに救急車を呼ぶ等の対応が必要です。

しかし、症状によっては、
自宅での対応が可能である軽度の場合や、
病院へ行くまでの応急的に出来る事もあります。

 

2-1.脱水症による影響(やさらなる疾患への危険性)

具体的な対応策の説明を行う前に、
どのような疾患に繋がってしまうのか?

ご説明いたします。

人間の身体の水分は、
胎児で体重の90%、子供では70%、
成人で60%~65%、老人は50%~55%、となっております。

とても高い割合で水分が占めており、
身体の水分量が減る、という事は様々な影響を、
及ぼす事は言うまでもありません。

脱水を起こすと内臓機能障害脳機能障害
を起こす引き金となります。

内臓機能障害:
胃や腸の消化器官、腎臓、肝臓、心臓等、
内臓機能全体に影響を及ぼしてしまいます。

進行によっては、
複数の臓器が連鎖的に機能低下を起こしてしまう、
「多臓器不全」に陥ってしまう事もあります。

致命的な状態となってしまいます。

 

脳機能障害:
脳全体の機能に対して障害が起きます。

特によく見られるのが、重度の脱水でなくても血液循環は悪くなる為、
水分不足で血液がドロドロになります。

脳卒中や心筋梗塞を起こしてしまう事があります。

さらに、身体の至る所でのバランスが崩れますので、
精神的なバランスも崩れて、イライラしたり、
眠れなくなるなど、精神的な症状も出現してしまいます。

内臓、脳、精神、
身体機能全てにおいて多大な影響があります。

 

2

-2.脱水症と熱中症の違い

現場にいると時折、脱水症と熱中症の違いは?
と、聞かれる事がありますので、簡単にご説明いたします。

以外と知られていないのです。

この2つの定義は違います。

脱水症は
「体内の水分(体液)が不足した状態」を言います。

熱中症は
「高温多湿の環境で起きる、身体の様々な障害」を言います。

熱中症は上記で示した様に、熱い時期、
梅雨の時期に発症し、寒い時期には起こらない病気です。

主に、めまい、頭痛、吐き気、痙攣、意識障害が見られます。

脱水症は、
ウィルスなどによる嘔吐や下痢でも起きてしまう為、
たとえ冬であっても、1年中起きてしまいます。

そして、
脱水症と熱中症の症状は似ており、
熱中症の中の、一つの症状が脱水症なのです。

ですので、熱中症も、
水分や電解質をこまめに補給す対応は同じであり、
風通しの良い場所で、安静にする事が必要です。

勿論意識状態が悪い時は、
病院や救急車での対応が急務となります。

又、睡眠不足や風邪を引いている時でも、
体力が低下し熱中症にかかりやすいです。

日頃の体調管理が必要です。

 

 

2-3.脱水症、具体的な対応策

では脱水症になってしまった場合、
どの様に対応すれば良いのでしょうか?

①軽度 ②中等度 ③重度
に分けてご説明してゆきます。

「表や図で危険度を知ろう」
「高齢者、脱水症の危険性」の2-2「表や図で危険度を知ろう」も、
参考にしながら確認してみて下さい。

 

①軽度の脱水
軽度の脱水症「1~2%の体重減少があります」
喉の渇き、体温上昇、めまい、皮膚の乾燥、
なんとなくふらつき感が起こります。

あまり見た目にはわからないかもしれません。

天気の良い日に外で過ごしたり、
汗をかくような活動や運動をすれば、
似たような事も起こりますね。

これが初期の水分不足のサインとなります。

しかし、
ここを軽く見てはいけません。

ここで対応出来るのが一番大切です。

早めに対応する事によって、
大抵は点滴等の処置は必用ないと考えます。

そのような状態の対応として、
やはり、電解質を含んだ水分補給が重要です。

スポーツドリンク
経口補液飲料が適しています。

スポーツドリンクは、
「アクエリアス」や「ポカリスエット」等、おなじみの商品です。

経口補液飲料は、
「OS-1」や「アクアライト」等、知られております。

経口補液飲料は、
軽度から中等度の脱水に有効とされております。

スポーツドリンクとの違いとして、
経口補液飲料の方が、電解質の濃度が高く、
糖質の濃度も調整されており、吸収も良いとされています。

軽度~中等度の下痢や嘔吐にも対応できます。

ですので、効果的に使い分けるのであれば、スポーツドリンクは、
運動後に汗をかいたら適度に、速やかに摂取し、
「脱水となる前の予防」として飲んだ方が良いと考えます。

勿論、軽度の脱水で、
スポーツドリンクしかなくても効果は期待できます。

高齢者の住まわれている家庭ではスポーツドリンクと、
経口補液飲料を常備しておいても良いと思います。

さらに、お味噌汁は血液と近い塩分濃度な為、
発汗による塩分減少を補うには有効です。

カリウムの補給には果物などを、利用することで補えます。

ちなみにお勧めは、薄めた暖かいスポーツ飲料に蜂蜜を入れると、
飲みやすく、お腹に優しく、エネルギ-も取れますのでお勧めします。

蜂蜜を入れると、吸収が早く、
カリウム、マグネシウム、ミネラル等、沢山含まれております。

後は、風通しのよくて涼しい環境で安静にして下さい。

いずれにしても高齢者の方や、何らかの疾患がある方は、
大事をとって、病院への相談や受診も考えて下さい。

 

中等度の脱水
中等度の脱水症「3~9%の体重減少があります」
頭痛、吐き気、身体のだるさ、めまい、立ちくらみ、
唇の乾燥、唾液が出ない、目がなんとなくくぼんでいる、
血圧の低下(普段の本人の血圧よりも明らかに低い)
頻脈(1に分間の脈拍数が100回以上)なる等、様々な症状が出現します。

頭痛や吐き気は中期の段階であり、
身体機能にまで水分不足が影響している状態です。

普段健康な方であり、中等度の脱水であっても、
十分に経口から水分を摂れるのであれば、涼しい環境を整え、
経口補液飲料にて補充すれば、回復出来る事が多いです。

しかし、水分が十分摂取出来ない状態や、
高齢者の方であればなおさら回復は難しく、
さらに悪化してしまう可能性があります。

速やかに病院の受診や、もし動けない場合は、
救急車を呼ぶ等して対応して下さい。

点滴によって水分や電解質を補充する必要があります。

例え軽度の脱水であっても、不安を感じたら、
ご家族も本人も、無理をせず早目に受信する事が大切です。

 

重度の脱水
重度の脱水症「10%以上の体重減少があります」
けいれん、意識障害、意識の消失等、
命にかかわる症状が出現します。

生命の危機的状態であり、すぐに処置が必要です。

迅速な処置が必要となるので、
全身を管理しながら、治療を行います。

こうなる前に気が付き、
軽度の時点で対応したい所です。

 

 

 

3.まとめ

予防策や具体的な対応を、説明してきました。

高齢者は予備力(体力や余力)が少なく、
少しの変化でも影響してしまいます。

さらに、本人も症状を感じにくい事があり、
周囲からも、気が付いてもらえない事が多々あります。

血圧や脈拍等も、人によって適正数値が様々です。

精神的な状態においても、同じ事が言えます。

日頃からの本人の状態を把握し、
小さな変化に気が付いてあげて下さい。

 

 

 

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