認知症初期症状ではなぜ怒りっぽくなるのか?

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【出典:無料写真素材 写真AC】

「昔から頑固だったけど、
最近特に怒りっぽくなったような・・・。」

「昔だったら、
あんな些細なことで怒ったりしなかったのに・・・。」

忙しい日々のなか、
食事やお風呂などのお世話をしているだけでも大変なのに、

ちょっとしたことで

いちいち怒鳴られたり、
些細なことですぐに怒りっぽくなったり・・・。

高齢者が年齢を重ねていくと、

「誰でも少しは怒りっぽくなったり、
人の話をちゃんと聞かくなったりもするよね・・・。」

「これって、特に珍しいことでもないかな・・・?」

なんて思う、介護者さんも多いかもしれません。

でも、この怒りっぽい症状が実は、
認知症の初期症状の始まりだとしたら・・・。

でも、それが初期症状の始まりなのか、
それとも、単なる歳相応の物忘れなのか?

認知症の専門知識の無い、素人の私たちでは、
どのように判断すればよいかわからないと思います。

そんな、認知症の知識に詳しくない、
毎日毎日忙しい介護者さんのために、

介護の現場で実際に活用されている、
初期症状の見分け方や、
怒りっぽくなった時への対処法。

医療機関や、認知症の専門医師も活用している、
家庭でも簡単にできる、
認知症の段階を判断できるテスト方法など。

これからお伝えする記事本文で、
より詳しく、わかりやすく解説してこうと思います。

 

 

 

 

 

1.認知症の初期症状ではどうして怒りっぽくなるの?

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【出典:無料写真素材 写真AC】

 

認知症を発症すると、
初期の段階から、記憶を管理する場所である、
脳の海馬(かいば)という場所が委縮していきます。

認知症の中でも代表的な病状である、
アルツハイマー型認知症では、

海馬(かいば)の萎縮が進み、
次第に脳全体の細胞が壊れていきます。

アルツハイマー型認知症だけではなく、
認知症の初期では、海馬(かいば)の萎縮によって、
記憶の管理ができなくなり、 これが原因となって、
ひどい物忘れの症状がみられるようになります。

こんな、物忘れの症状が現れることで、

「ここに置いていいた財布がなくなった・・・。」
「今日は〇〇に出かける日だったか・・・?」

ついさっき、自分は何をしたのか?
いったい自分は何をすればよいのか?

自分では問題を、
解決することができなくなってしまうのです。

このようなことが日々続くと、
自分の理性をコントロールすることができなくなり、

自分の記憶を整理することもできず、
これによって過度のストレスを抱えるようになります。

やがて、
そのストレスのはけ口として、

「〇〇が無くなったのは、誰かに盗まれたからだ!」
「今日は、〇〇に出かける日なのに、だれも連れてってくれない!」

このように、
妄想のような言動を発するようにもなります。

「ちょっとしたことで突然怒り出す。」
「一度怒り出すと、手が付けられなくなるほど怒る。」

このような症状は、
脳の萎縮が原因となり、

記憶の混乱や、
理性のコントロールができなくなることから起こる、
認知症の初期に多く見られる症状でもあります。

では、怒りっぽくなる具体的な原因とは?

認知症によって出現する症状には、

「中核症状」という症状と、
「周辺症状(BPSD)」という2つの症状があります。

「中核症状」という症状は、

脳の機能が低下することによって起こる症状で、
認知症を発症するとほとんどの人に現れる症状です。

「ついさっきの出来事をすぐに忘れてしまう。」
「今日の日付がわからなくなる。」
「お店で買い物ができなくなる。」

さらには、

「食事の献立を考えたり、調理の手順がわからなくなる。」

このような症状は、
「中核症状」の代表的な症状です。

もう1つの症状である、
「周辺症状(BPSD)」という症状は、

その人の、それまでに過ごしてきた環境や、
生活歴、心理状態などがきっかけとなって現れる症状で、

人それぞれ、
出現する症状が違うのが特徴です。

「外出先から1人で家に帰れない。」
「とっくの昔に退職しているのに、会社に出かけようとする。」
「夜中や早朝に、突然家の外に出ようとする。」

人によっては、

「トイレでの不始末が多くなる。」
「トイレの場所が理解できなくなる。」

このような症状が、
「周辺症状(BPSD)」の代表的な症状です。

「中核症状」とは、
認知症を発症した人の多くに見られる症状ですが、

「周辺症状(BPSD)」の場合、
まったく症状が現れない人もいます。

認知症を発症したことによって、
やたらと怒りっぽくなるのも「周辺症状(BPSD)」の1つで、
「易怒性(いどせい)」と呼ばれる
「周辺症状(BPSD)」の1つです。

この「易怒性(いどせい)」という症状は、
精神障害の1つでもあり、何かストレスをかかえているとき、

そのストレスを解消できず、
そのストレスを抱えている理由を納得することもできず、

次第にやたらとイライラがはじまり、

そのイライラが抑えられなくなると、
周囲に対して攻撃的な言動をとったりするのも、
認知症の症状によって、怒りっぽくなる原因でもあります。

 

 

 

2.なぜ介護に対して怒りっぽくなるのか?

介護に対して、

「大きな声を出して抵抗する。」
「暴力行為をする。」
「介護を拒否する。」

このようなとき、介護者さんは、

なぜ、暴力や暴言に訴えるのか?
相手の気持ちや理由を考える前に、

「どうしたら、
こちらの言うことを聞いてくれるのか?」

「どうすれば、
素直に介護を受け入れてくれるのか?」

このように
考えて、悩んでしまうと思います。

ですが、

暴力や暴言という手段を使って、
介護に抵抗したり、介護を拒否するには、
相手なりの正当な理由があったりもするのです。

「そろそろトイレの時間ですよ。」

介護者から
このように声をかけられたとき、

介護される人が、

「今トイレに行っても、 何も出そうにないんだけど・・・。」

この思いを、
介護者に上手く伝えられれば良いのですが、

認知症の方の場合、
この思いを上手く言葉にできないので・・・。

「言葉にしたいけど、言葉にならない。」

「相手に伝えたいことがあるけども、
それを相手に上手く伝えることができない。」

これが、
イライラやストレスとなって、
暴言や暴力という手段となってしまうのです。

また、介護者さんの言葉や態度に対して、

「本当はこうしてほしい。」
「もっと、これもしてほしい。」

こういった欲求を
上手く伝えられないときなどでも、

言葉にできない感情やストレスが
暴力や暴言になって現れることもあります。

暴言や暴力で、
介護に対して抵抗する。

介護を拒否する。

こういったとき

「認知症の症状で、暴言や暴力に訴えている。」
このように短絡的に考える前に、

「何が原因なのだろう?」
「何を伝えたくて、暴力に訴えるのだろう?」

このように、
原因となっている理由を考えてあげることが
とても大切です。

では、次からは、

認知症の症状で、
なぜ怒りっぽくなってしまうのか?

怒りっぽくなった時の暴言や暴力に対して、
どのように対処すれば、介護者さんも介護される側も、
ストレスなく介護を済ませることができるのか?

具体的な対処法などについて
お伝えしていきます。

2-1.怒っているときの対処法

暴言や暴力という行為で、
介護に対して、拒否が強い時への対処法をお伝えする前に
まず理解してほしいことがあります。

それは

認知症の方が、
介護に対して拒否をしたり、怒りっぽくなることには
ほぼ、すべての出来事に何か原因があると思ってください。

認知症の方が怒っているときの感情とは、
ただ単に、怒りの感情だけではないのです。

介護者さんに何かを伝えたいけども、
それを上手く言葉にすることができない。

そんな時

もしかすると、
心の中は不安で仕方ないのかもしれません。

排便が上手くできていなくて、
不快な気持ちでいるのに、
それを上手く言葉にすることができない。

自分では
便秘状態を解消することができず、
不快でたまらないのかもしれません。

病院に連れていかれて、
お医者さんに色々なことを言われたけど、

言われたことが理解できず、
頭の中が混乱しているのかもしれません。

家族に着替えを手伝ってもらったとき、

一声も無く、いきなり背中に手が回って、
何がなんだかわからないうちに上着を脱がされてしまった。

こんな時は

「いきなり服を脱がされた・・・。」
「・・・怖い。」

このような、恐れの感情を抱いているかもしれません。

不安や恐れ、不快な感情を
私たち健常者であれば、自分の力でコントロールし

不快な状況や、身体の不調に対しても
自分で解消することができますが、

認知症の人は
自分の感情を相手に上手く伝えることもできず、
自分がどうしたらよいのかも分からないのです。

だから
その感情の行き場を失って

イライラがつのり、
そのイライラを解消できずストレスが溜まり

やがて

暴言や暴力という行為で発散されるのです。

ではこのような、
暴力や暴言という介護拒否が強い場合、
どのように対処すればよいのか?

悩んだとき、困ったときには、
ちょっとだけこんなことを考えてみてください。

1.何に対して怒っているのかをまず考える。

2.体調の不調が無いか観察してみる。

3.介護者の対応で相手を不安にしていないか考えてみる。

4.相手の行動を観察してみて、今、相手が何をしたいのかを考えてみる。

5.相手の怒りが治まらないようであれば、いったんその場を離れてみる。

対処法を考えるときにはまず、
この1から5までに当てはめて考えてみてください。

怒りの原因がわかれば、
その怒りを治めてあげるように
いつも以上に丁寧に接してあげてください。

便秘や下痢をしている。
風邪症状がみられるようであれば、
病院に連れていてあげてください。

介護者の些細な言動にも
認知症の人は敏感に反応します。

慣れた相手とはいえ、
ちょっとした態度が相手を
不安にしたり、恐れの感情をいだかせることになります。

普段を違う様子が見られたら、
自分の介護に何か問題が無いか?
ちょっと立ち止まって考えてみてください。

同じ場所を
何度も何度もウロウロしている。

何度も何度も同じことを聞いてくる。

こんな時には、
相手が本当に伝えたいこと
訴えたいことはなんであるのかを
ちょっと時間をかけて聞いてあげてください。

怒りの感情の原因は、
自分の訴えを上手く伝えられないストレスが、
原因となっていることが多いです。

1から4まで当てはめてみても、
暴言や暴力が治まらないときは、

一旦その場を離れてみてください。

誰か介護を代わってくれる人がいたら、
別の人に代わってもらってください。

代わる人がいない場合には、
付かず離れず、相手の怒りの矛先が治まるのを
待ってみてください。

認知症の人も1人の人間です。

怒りの原因が必ずあって、
それを上手く伝えることができず
自分では消化できないだけなのです。

暴言や暴力に訴えるときには
必ず原因があって、その原因を知ることがとても大事です。

その原因を少しでも理解することが
暴言や暴力に対して、最も有効な対処法でもあります。

 

 

2-2.暴言や暴力が出たときの対処法

相手が暴言や暴力に訴えたとき、
絶対にしてはいけないこと

それは

介護者さんが、
興奮している相手と一緒になって興奮しないこと。

これは絶対してはいけません。

相手が介護に対して、
暴力などに訴えて拒否を示しているときは、

冷静さを失い、
過度の興奮状態にあるときです。

まして

もともと発症している
認知症の周辺症状なども原因となって、
冷静な判断もできない。
自分の訴えを上手く言葉にもできない状態です。

そんな相手に対して、
一般常識や理屈などは通じません。

では

常識も理解してもらえない、理屈も通じない、
感情を暴力に訴えている相手に対して、
どのように対処すればよいのか?

それは

相手の感情を、
相手の立場になって理解することです。

相手の怒りの原因が何であるのか?
何を訴えようとしているのか?

これが理解できるようになると、
興奮している相手のペースに飲み込まれること無く、
冷静に対処ができるようになります。

例えば、

入浴介護を行う時間になって、
相手を浴室へ連れて行こうとしたとき、

突然、相手が興奮しはじめて、
浴室へ行くことに対して暴力や暴言で拒否をした。

このようなとき

何とかして
浴室へ連れて行こうとすればするほど
相手の拒否は強くなるばかりです。

「なぜ、こんなに強い拒否を示すのか?」
「何が嫌で入浴を拒むのか?」

便秘でお腹がスッキリしないので、
今はトイレに行きたいのかもしれない。

疲れていて、
ベッドに横になりたいのかもしれない。

ただ単に、
今はお風呂に入りたくないのかもしれない。

ただ単に拒否をしているのではなく
上手く言葉にできないけど
相手には、言葉にできない、
様々な原因があるのかもしれません。

「また、暴言や暴力で拒否をしている。」

この一言で片づけてしまうのは簡単ですが、
認知症の人にも、感情は残されています。

何が嫌で
拒否を示しているのか?

何を訴えたいのか?

相手の気持ちや感情を理解し、
痛がっているときには、一旦その場を離れて、
相手の怒りの感情が治まるのを少し待ってみる、

暴言や暴力に訴えている相手に対して、
介護をスムーズに行いたいと思ったら、
実はこれが一番の近道だったりもします。

 

 

 

3.怒りっぽくなるのも、認知症のタイプによって違います!

認知症が原因となる、怒りっぽい症状も、
認知症の病態によって様々な特徴があります。

様々な病態の中でも、
特徴的な3つの病態があり、

それぞれの病態が持っている特徴を知ることによって、
初期の段階から、適切な治療や対応ができる場合もあります。

では、
病態によって、どのような違いがあり、
どんな症状がみられるのか?

代表的な3つの病態である、

「アルツハイマー型認知症」
「レビー小体型認知症」
「前頭葉型認知症」

この3つの病態について、
これから詳しく解説していきます。

3-1.アルツハイマー型認知症の特徴とは?

発症の初期段階から、
記憶を管理するための、
海馬(かいば)という脳の部位が委縮しはじめ、
徐々に脳全体の萎縮が進んでいくのが、この病気の特徴です。

海馬(かいば)の萎縮が進行していくと、
「ほんの数分前の出来事すら忘れてしまう」といった、
記憶の障害が起こります。

記憶の障害が進行していくと、

夜中にゴソゴソとタンスの中を探しだしたり、
言葉にはできない何かを、あてもなくウロウロと探し続け、

やがて

探し物が見つからないことを、
身近にいる人間(家族などが多い)に強い口調で訴え、

「盗まれた!」
「隠された!」

などと、非現実的な言動を訴えるようになり、
人によっては、攻撃的な態度を取る場合もあります。

 

 

3-2.レビー小体型認知症の特徴とは?

アルツハイマー型認知症が、
女性に多く発症するのに対して、

このレビー小体型認知症は、
男性に多く発症するのが特徴です。

アルツハイマー型認知症のように、
初期の記憶障害や、強い物忘れの症状は見られませんが、

「そこに小人がいる!」
「天井に虫がたくさんいる!」
「夜中に知らない誰かが家の中に入ってきた!」

などと、

普通の人には見えないものや、
ありもしないものを、見えると訴える。

幻視(げんし)という症状が強く表れるのが、
レビー小体型認知症の特徴です。

鏡に映る自分に向かって突然大声で怒鳴ったり、
時には、家族が自分に意地悪をする悪人に見える。

このような

一般の人には理解できない幻覚や幻視症状を訴え、
パニック状態になることで突然殴りかかってくる。

時には、
人格が変わったように汚い言葉を罵ってくる。

認知症の中でも、
初期段階から攻撃的症状が強く現れるのも、
このレビー小体型認知症の特徴です。

 

 

3-3.前頭葉型認知症の特徴とは?

この病態では、
認知症の特徴的な症状である

「物忘れの症状」は強く現れません。

その代わりに、

「自分の目の前にあるものが何であるか?」
「いったい自分は何をすればよいのか?」

このような

生活をするために必要な理解力や、
行動するための思考力などが著しく低下するのが、
この前頭葉型認知症の特徴です。

感情をコントロールしたり、
理性を制御するための脳の部位が委縮することによって、
人格の変化などが起こりやすくなり、
突然怒り出すなどの症状が強く現れます。

また、

家の中の同じ場所を、
何度も何度も往復してみたり、

自分の近くにある物を叩いたり、
人によっては、自分の手を叩いてみたりと、

単純な行動を、
何度も何度も、長時間繰り返すのも
この前頭葉型認知症の特徴でもあります。

この繰り返される単純な行動を、
止めようとしたり、抑制しようとすると、
激昂するほどの怒りの感情を、あらわにすることもあります。

このように、

怒りっぽくなるのも
認知症のタイプによって
原因や行動に若干の違いがあります。

また、発症する症状によって、
治療で内服するお薬も変わってきますし、
治療方法や対処法も変わってきます。

初期の段階で、
認知症専門医師の診察を受ける際には、

怒りっぽくなった時の状況や、
怒りっぽくなった時の前後の様子を、
医師にできるだけ明確に伝えることも、
適切な治療を受けるために大切なことでもあります。

 

 

 

4.怒りっぽい認知症を家庭で早期発見できる“3つのポイント”とは?

「認知症を早期発見する!」

こんなことを聞くと

病院に行って、
専門家の医師に検査を受けなければいけない。

多くの方が
こんな風に思われるかもしれません。

ですが

専門の医師に検査や診察を受けなくても、
認知症をご家庭で早期発見するための、
とても簡単な方法があります。

その方法とは

これからお伝えする、
3つのチェックポイントを確認してもらうだけ。

たったこれだけです。

では早速
3つのチェックポイントを確認していきましょう。

チェックポイント№1
言葉が出てこなくなった。

「あれが・・・。」
「えっと、それは・・・。」

このように

相手に何か使えたいことがあるのに、
それが上手く言葉にできないことが多くなった。

これは要注意です!

私達でも、
人の名前がなかなか思い出せないことや、
数日前の出来事がなかなか言葉にならないことは
多々ありますが

これは単に

新しい記憶を脳に蓄積している段階で
古い記憶が脳の奥に眠ってしまった。

何かのきっかけだったり

時間が経過することで、
思い出すことも口に出して確認することもできます。

ですが認知症の人の場合、

伝えたいことがあるのに、
それを言葉にする能力が低下してしまった。

脳の機能が低下したことにより、
思考を言葉にすることができなくなり、

「・・・えっと・・・。」
「そのぉ・・・。」

このよう状態が起こるのです。

このような様子が
たびたび見られるようになった時は、

一度、近隣の、
認知症専門外来などへ受診をした方が良いでしょう。

チェックポイント№2
最近、服装がだらしなくなった。

じっとしているだけで、
汗ばむような日に、

なぜか朝から、
厚手のセーターを着ていると思ったら、

息が白くなるほど寒い日に、
薄手のシャツ一枚で家の中を歩いてみたり・・・。

このように、

「最近、衣類がチグハグになった。」
「季節に合った服装ができなくなった。」
「上下の色合わせがバラバラ。」

さらに、

「シャツがズボンから出ていても、まったく気にしなくなった。」

こんな様子が見られるようになったら、
これも要注意です。

誰でも、
朝起きて、今日一日着る服を決めるとき、

「上着が赤だから、パンツは何色にしようかな?」
「今日は暖かい日だから、薄手のシャツ1枚で大丈夫かな?」

このように、
季節や天候に合わせて衣類を選び、

また、人に見られても、だらしなくみられないように、
色合わせやバランスを考えて、衣類を選んでいると思います。

ですが、認知症の人の場合、

季節にあった衣類を、
自分で選ぶことができなくなり、

人に見られても恥ずかしくないように、
上下のバランスを考えることや、
色合わせを考えるといった、
オシャレをするという概念が無くなります。

さらに症状が進行してくると、

「髪がボサボサのままでも、まったく気にしなくなる。」
「歯を磨かなくなる。」

男性であれば、

「無精ひげが生えていても、まったく気にしなくなる。」

このように、
身なりを気にしなくなってきます。

これも認知症を発症する人の、
初期に多く見られる症状で、

「最近、急に身なりがだらしなくなった。」

こんな風に思われたときには、
医師に相談するなどの対応をしてみてください。

チェックポイント№3
部屋の中がいつも散らかっているようになった。

今まではきちんと整理されていた、
ご本人のお部屋に掃除などに入ってみると、

「衣類などが乱雑に散らかっている。」
「タンスの引き出しがグチャグチャになっている。」
「いつも同じ場所に置いてあったものが、見当たらなくなっている。」

このように、

部屋の中が乱雑になっている原因として、
3つの可能性が考えられます。

1つ目の可能性
「整理整頓の方法がわからなくなった。」

洗濯した衣類を所定の場所に戻せない。

お財布などの、
出し入れする回数が多いものをいつもの場所に戻せない。

または、場所がわからない。

このように、
整理整頓する方法や、
もどす場所がわからなくなっている可能性があります。

2つ目の可能性
「どこに何が入っているのかがわからなくなった。」

タンスの引き出しが、
いつも空きっぱなしになっているのは、

タンスの中に、
何が入っているのか分からなくなっていて、

何が入っているのかを確かめるために、
何度も何度もタンスの引き出しを
開け閉めしている可能性があります。

正常な状態であれば

「上着はこの場所に入っている。」
「下着はこの場所。」

といったように、
いちいち確かめる必要もないと思いますが、

認知症の人の場合、

自分がどこに何を入れたか、
どこに何が入っているのかを忘れてしまっているので、

急に不安になり、いつも心配になってしまい、
四六時中タンスの引き出しを
開け閉めしている可能性があります。

3つ目の可能性
「物取られ妄想の始まり」

財布や指輪などの貴金属が、
いつもおいてある場所に見当たらなくなっている。

または、
いつも違う場所に置いてある。

これは、
しまう場所がわからなくなっている可能性よりも、

「大事なものだから、盗られないようにしないと・・・。」

このような、
物を盗られてしまうのではないか?
という、妄想から始まった行動の可能性があります。

「自分で片づける場所もわからない。」
「どこに片づけたのかもわからなくなってくる。」

このような段階になると、

「大事なものが無くなってしまうのではないか?」
という不安と恐れの感情をいだくようになり、

いつからか、
片づけるというよりも

「盗られたくないから隠す」
という行動に出ている可能性が考えられます。

以上、簡単ではありましたが、
ご家庭で、誰でも簡単にできる、
認知症早期発見の3つのポイントを解説してみました。

生活上の中での、ちょっとした変化が
実は認知症の初期症状の始まりだった・・・。

このようなケースは、
認知症を発症した方の大多数に見られるパターンです。

チェック方法に関しては、様々な方法があり、

チェック項目も、専門的なものであれば、
数十に渡るものもあります。

ですが、ここではあえて、

認知症の専門知識が無い方でも、
生活上の様子から、早期発見できるポイントを、
3つにしぼって解説してみました。

では、次は、
やや専門的になるのですが、

医療関係者も多く利用している、
代表的な認知症のチェック方法である、
長谷川式という、チェック方法について解説してみたいと思います。

 

 

 

5.自宅で専門的認知症チェックができる!長谷川式認知症スケール。

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【出典:長谷川式簡易知能評価スケール HDS-R】

「もしかして、これって認知症・・・。」

自分のご家族について、
そんな風に思ってみたとしても、

認知症について、専門知識が無い私たち素人では、
なかなか判断が難しいと思います。

そんな時

「これは認知症に該当するのか?」
「認知症だとしたら、どれぐらいのレベルにあるのか?」

このようなことについて、

専門的知識の無い私たちでも、
認知症についてしっかりと判断するための
とても便利な判断ツールがあるのです。

その代表的なツールの1つが
これからご紹介する、

「長谷川式認知症スケール」です。
http://www.chiba.med.or.jp/personnel/nursing/download/text2012_10.pdf

※長谷川式簡易知能評価スケールや、
長谷川スケールとも呼ばれています。

この「長谷川式認知症スケール」の特徴は、

1.認知症の専門知識が無くても
   認知症の早期発見ができる。

2.医療機関でも多く使用されている
   信頼度の高いツールである。

このような特徴があることから、
医師だけでなく、私たち素人でも認知症の判断をすることが可能です。

ではここからは
この「長谷川式認知症スケール」の活用方法について、
具体的に詳しく解説していこうと思います。

長谷川式認知症スケールの詳しい使い方

ではここからは

長谷川式認知症スケールに記載されている
各チェック項目について解説していきます。

※チェックシートの見本はこちらです。
http://www.chiba.med.or.jp/personnel/nursing/download/text2012_10.pdf

質問1.歳はいくつですか?

※年齢について、2年までの誤差は正解とする。
不正解は 0点 正解は 1点

質問2.今日は何年の何月何日ですか? 何曜日ですか?

※年・月・日・曜日について、
正解すればそれぞれ1点でカウントする。

年  不正解は 0点 正解は 1点
月  不正解は 0点 正解は 1点
日  不正解は 0点 正解は 1点
曜日 不正解は 0点 正解は 1点

質問3.私たちが今いるところはどこですか?
(正答がないときは5秒後にヒントを与える)

自発的に答えられた場合は 2点

すぐ回答できなかった場合、5秒おいてから再度質問し
「家ですか?病院ですか?施設ですか?」 の中から
正しい選択ができたら 1点

答えられなかった場合や不正解だった場合 0点

質問4.これから言う3つの言葉を言ってみてください。
※「これはあとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。」

以下の系列のどちらか1つで質問を行う。

系列1 桜 猫 電車
系列2 梅 犬 自動車

※質問する際には、
「これから3つの言葉を言いますから、よく覚えてください。」
「少したったら、もう一度同じ言葉を質問します。」

このように
再度同じことを聞くので
今から伝える言葉を覚えてもらうよう
分かりやすく伝えてあげてください。

言葉ごとに正解は各1点ずつ

3つ正解したら 3点
2つ正解だったら 2点
不正解は      0点
1つ正解の場合は 1点

質問5.100から7を順番に引いてください。

1)「100―7」は?
※正解したら、次に進む。

2)それから7を引くと?
※1)が不正解だった場合は2)は聞かなくてもよい。

不正解だったら 0点  正解だったら(93) 1点
不正解だったら 0点  正解だったら(86) 1点

質問6.これから言う数字を逆から言ってください。(1に正解のときのみ2も行う)

1) 「6と8と2」を逆に言う
2)    「3と5と2と9」を逆に言う

1、2ともに各1点ずつ

不正解だったら 0点  正解だったら(2-8-6) 1点
不正解だったら 0点  正解だったら(9-2-5-3)1点

質問7.先ほど覚えてもらった言葉(問4の3つの言葉)をもう一度言ってみてください。

先ほど質問した問4で
これから言う3つの言葉を言ってみてください。
あとの設問でまた聞きますのでよく覚えておいてください。

このように質問しましたが
その時伝えた言葉

系列1 桜 猫 電車
系列2 梅 犬 自動車

この言葉を覚えているか確認してください。

ノーヒントで自発的に答えられた場合
1つの言葉につき各2点

※ヒント 1) 植物 2) 動物 3) 乗り物 を与えて正解できた場合
1つの言葉につき各1点

ヒントを与えても不正解だった場合 0点

8.これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言って下さい。

1つずつ物の名前を言いながら
目の前で並べてみせて覚えてもらう。

10秒程度見せたら、見えない場所に隠す。

見せるものは
時計、くし、はさみ、タバコ、ペンなどにして、

「はさみと紙」や「タバコとライター」など
関連性のあるものは見せない。

1つ正答するごとに1点
5つ正解できたら5点
4つ正解だったら4点
3つ正解の場合は3点
2つ正解は2点
1つ正解は1点
全問不正解は0点

9.知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
※答えられた野菜の名前をすべて記入する。

いくつか答えられたが、途中で詰まり、
約10秒待ってもでない場合にはそこで打ち切る。
※ありもしない名前が出た場合は記入しない。

正解が10個以上は5点
正解が9個以上は4点
正解が8個以上は3点
正解が7個以上は2点
正解が6個以上は1点
正答数6個以上は1点
正答数0~5個以上であれば0点

これで質問内容は終了となります。
では、ここまでの合計点数を数えてみましょう。

得点数によって何がわかるか?
それは以下で解説します。

30点満点で、20点以下のとき、 認知症の可能性が高いと判断される。

認知症の重症度別の平均点

非認知症:24.3点
軽度認知症:19.1点
中等度認知症:15.4点
やや高度認知症:10.7点
高度認知症: 4.0点

点数に応じて、このような状況にあることが判断されます。

さらに、結果に応じて
以下のような評価が導き出されます。

評価スケールの結果について

20点以下の方
→認知機能が低下が日常生活に影響を及ぼしている可能性があります。

この結果だけで即に認知症と診断されるものではありませんが、
認知症専門医や医療機関への相談をお勧めします。

21点以上の方
→認知機能の低下が日常生活に影響を及ぼしている可能性は低そうです。

ただし、テストの結果は21点以上でも、
日ごろ気になる状態がある場合、一度医療機関に相談してみましょう。

ここまでいかがだったでしょうか?

この長谷川式認知症スケールであれば、
質問数もわずか9つですし、時間もそれほどかからずに、
専門医も使用している、信頼性のある認知症チェックが自宅できます。

チェックシートの見本はこちらです。
http://www.chiba.med.or.jp/personnel/nursing/download/text2012_10.pdf

「あれ?これって認知症かも・・・。」

こんなとき、
ぜひとも活用してほしいのが
今回ご紹介した「長谷川式認知症スケール」です。

 

 

 

6.怒りっぽい認知症で困ったときの“3つの駆け込み寺”

ここまでは、
怒りっぽくなる認知症への対処方法や、
早期発見するための方法などについて解説してきました。

ですが、

早期発見ができて、
その対処方法を試してみたけど、

それでも

「介護に行き詰ってしまった・・・。」

そんな時、
介護者さんにとって、
とても頼りになる3つの駆け込み寺がありますので、
これから詳しく解説していこうと思います。

まず1つ目の駆け込み寺は

居宅介護支援センターです。

ここには、
介護サービスの専門家である、
ケアマネジャーさんが勤務しています。

日々、介護負担で悩んでいる介護者さんに、
ホームヘルパーさんやデイサービスなどの介護サービスを利用して、
介護者さんの負担を軽減するアドバイスをしてくれたり、

介護されているご本人に対しても、
必要となる介護サービスの提案などをしてくれます。

すでに、介護サービスを利用されている方であれば、
担当のケアマネジャーさんがいると思いますが、

まだ、介護サービスを利用されていない方であれば、
お住いの地区にある、市区町村の役所にある介護保険の相談窓口で、

「介護サービスを利用したい。」このように伝えれば、

ケアマネジャーさんの手配や、
手続き方法などを教えてくれます。

2つ目の駆け込み寺は

地域包括支援センターです。

この地域包括支援センターとは、

市区町村に必ず設置されている、
介護保険で定められた介護の総合相談窓口です。

居宅介護支援センターが、
介護サービスの相談窓口であることに対し、

この、地域包括支援センターは、
介護サービスの相談から、

実際に、
介護に悩んでいる介護者さんに対して、

介護を負担するためのアドバイスや、
認知症介護に関する相談まで、
幅広くアドバイスをしてくれる窓口です。

介護保険をこれから使う人に対しては、
手続き方法を教えてくれますし、

介護施設への入居を検討している人であれば、
近隣の介護施設の空き情報や、
具体的な料金などの情報も教えてくれます。

全国の地域包括支援センター一覧

3つ目の駆け込み寺は

認知症の専門外来です。

ここでは、
認知症の専門知識を持った医師が、
症状に応じた治療や、お薬の処方をしてくれますし、

症状の早期発見なども、
早めに医師に診てもらうことで、
症状の深刻化を予防することもできます。

また、医師が必要と認めれば、
総合病院への入院措置や、
介護施設への入居などのアドバイスもしてくれますから、

急に症状が現れたときや、
症状に変化があったときには、

早めに医師の診断を受けることも、
介護の負担を大きくしないためにはとても大事です。

全国認知症外来一覧

色々頑張ってみたけども、

「もうどうしていいかわからない!」

こんなことになる前に、

ここでお伝えした、
3つの駆け込み寺を上手く活用してください。

1人で悩まず、
介護や認知症の専門家に相談することで、
何か解決に糸口が見えるかもしれませんから。

 

 

 

7.怒りっぽい認知症についてのまとめ

ここまでいかがだったでしょうか。

認知症の症状によって、

「怒りっぽくなる」

「介護に抵抗する」

「時には、暴力や暴言で訴える!」

このような場面に、
日々遭遇している介護者さんの負担は
並大抵ではないと思います。

怒りっぽくなったり、
暴言や暴力に訴えることにも、
原因があること。

そして、
怒りっぽくなった時には、
その場にあった対応方法があること。

そして、
症状が重症化する前に、

ご自宅でも簡単に、
症状を早期発見する方法があること。

そして、

介護に行き詰ったときには、
介護や認知症の専門家からアドバイスをもらえる、
相談窓口がすぐそばにあること。

このようなことについて、
ここまで解説してきました。

認知症介護に携わる方の、
ストレスや悩みは、並大抵のものではありません。

ここまでお伝えしてきたことが
認知症介護に悩む方へ、
少しでもお役に立てれば幸いです。

ここまで読んでくださって、
ありがとうございました。

 

 

 


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